【第2回】キラキラおちょこガール
2回目となりました「キラキラおちょこガール」。
日本酒に携わる女性がきらきらと輝いている姿をお届けする企画。
毎月更新予定なので、ぜひご確認を!!
2人目のキラキラおちょこガールは、清須市にあります今年4月にリニューアルオープンして生まれ変わった七里酒店、林藤子さん。プライベートなことから仕事のことまで彼女のキラキラを徹底取材!
―まず始めに、藤子さんのおちょこガール歴を教えてください。
藤子さん:多分、8年前くらいから日本酒を呑み始めました。昔はお酒が苦手だったのですが、上の娘が高校生になったくらいから外で飲む機会が増えたのと、父親が亡くなってから酒豪が乗り移ったようで、人並みに飲めるようになりました!(笑)妹は、酒豪でよく父親と飲んでいたのですが私は一度も、無かったので「一緒に飲めたらよかったな」と今は思いますね。
―続いて、幼少期から現在の仕事に就くまでの経歴を教えてください。
藤子さん:私はあまり覚えていないのですが…近所の方がお店に入ってくるとどこからともなく「いらっしゃいませ」と聞こえて…。カウンターの高さより小さい私が言っていたみたいです(笑)そんな頃からお店のお手伝いをしていましたね~。
―かわいいですね。
藤子さん:大学を卒業してからは、このお店で働いていたのですが外に出たかった私は父親と喧嘩をした勢いで、不動産屋の面接に行きまして。その時、「特技は何かありますか?」と聞かれたのですが、何も思いつかなくて…「力だけはあります!」って事務作業なのに言ったんですよ(笑)その時、やっぱり酒屋の商売が染みついているなと思いましたね。その時の面接は、「変わった子だ」ということで通り、不動産屋で1年間働いて、結婚を期にまたお店に戻ってきました!
―では、酒屋を継ぎたかったわけじゃないんですね!?
藤子さん:そうなんですよ。本当に、全然継ぎたくなくて…ワインは好きでたまに飲んでいたのですがお酒は得意ではなかったので、すごく飲みたいという感覚にならなく、このお店を継いでもいいことないなと思っていたんです。
それに、初めての人の前だとすごく緊張してしまう性格なので商売には向いてないと感じていました。でも、この話、今はどの人に言っても信じてもらえないんですよ~!
―こんな気さくにお話ししてくださるのに!意外です!
藤子さん:なので、最初の頃はすごく緊張しながら無理してお客様に話しかけていたりして。自分の中で悩んだ時期もありました・・・。
―ちなみに、今もそうなんですか?
藤子さん:人見知りがなくなった訳ではないのですが、すごく楽しく働いています!!
―では、娘さんお二人にはお店を継いでほしいと思いますか?
藤子さん:酒屋を継ぐんだと言われ育ってきたので、他にやりたいことが見つからなくて、でもお店も継ぎたくないし…。もし「継ぐんだ!」って言われてなかったら他にやりたいことが見つかったかもしれないと思っていました。
今この年になって、父親がなぜあれだけ継がせたかったのかすごく気持ちが分かるけど、娘が他にもっとやりたいことがあるのであれば…と思っていたんですが、娘の方から「お店を継ぐよ」と言ってくれたり、お酒の勉強を自主的にしていたり、子供をみてまた親も勉強だなと思いますね。
―素敵な娘さんですね。
―プライベートの話になってしまいますが、大将との馴れ初め教えてください!
藤子さん:このお店の前を大将が洗車したてのピカピカの車で通った時にパッと顔が見えて役場で働いている人だということが分かったんです。車が好きだった私は、知り合いに「彼、どんな人?」と聞いたのですが、私が「好きだと言ってる」と大将に伝えてしまったようで、勘違いされてしまったんですよ(笑)
それから少し経ってからお付き合いしました。でも実は私、大将とは結婚する気が無くてですね…ある日、私が不動産屋で働いていたら妹から電話がかかってきて「林君がお父さんに話にきてるよ!」と言われて、私がいない日に大将が父親に直談判をしに来たみたいでして…すごく驚きましたね。
―それは…愛ですね!!!
藤子さん:父親も大将も野球をやっていて甲子園に行っているんですが、その境遇が似ていたからなのか、父親は「そうやって頑張ってきたやつに悪い奴はいない」と大将の熱意が通じて結婚を許してくれて(笑)
ただ、私は結婚前日でも結婚したくなかったんです。
当日は昔の名古屋結婚スタイルで家から作ってもらった白無垢を着て出たのですが、式場についたら袴を着た大将が外で待っていて「私が来てよかった」って言ってました(笑)
―そんな旦那さんうらやましいです!!
―ではちょっとお話を戻して…お店を今年4月にリニューアルしたそうですが、きっかけは何ですか?
藤子さん:実はリニューアルする気は全然なかったんですよ。いつか娘が継ぐときに好きなようにしてくれればと思っていたのですが…ある日、ご縁ってすごく不思議で。
日本酒が置いてある居酒屋さんに家族で行ったのですが、そこにいたお客様と仲良くなり、お店に遊びに来てくださったときに「お店綺麗にすればいいのに~」と言われたのがきっかけですね。何かに背中を押されたかのようにポンポンと話しが進みリニューアルすることになったんです。
―ご縁ってすごいですね!
―リニューアルしたお店のこだわりはどんなところですか?
藤子さん:とにかく「空間」ですね!!ゆっくり、ゆったりお買い物ができ、お子様連れのベビーカーで来店したお客様でも気にしないで入店できる広々とした店内。空間演出がとても難しくて、殺風景に思われてしまうとお店としては寂しいし、色々置きすぎると雑々しく感じてしまいますし…このお店を設計してくださった設計士さんご夫婦の奥様は私の小学生からの親友で、ちょっとした空間演出はお二人にヒントをいただき、私達の頭の中の空想を一緒に形にしてくださいました。
―七里酒店さんでは毎月、たての日会(1つの蔵のお酒3種類飲み比べるの会)や、よこの日会(テーマに沿った3蔵のお酒を飲み比べる会)といったお客様や蔵元様と一緒に楽しめるイベントを行われていますが、始めるきっかけはありましたか?
藤子さん:これも、日本酒を通して出会った方にアドバイスをいただいて、お客様と何かコミュニケーションを取れる催しがあったらいいねと話していたのが始まりですね。たての日会だと1つの蔵の飲み比べなのでその蔵の地域の食材を使っておつまみを提供してみたり、よこの日会だと3つの蔵の飲み比べになっているのでお酒に合わせたおつまみを提供したり、試行錯誤しながら行っています。
―たての日会とよこの日会で好評だったおつまみとかありますか?
藤子さん:よく声をきくのは、第1回たての日会の米鶴酒造さんの時に出した、玉こんにゃくですかね。
私は、好きなので有名だと思っていたのですが、おつまみで出してみたら案外知らないお客様が多くて、「こんなに簡単で日本酒に合うものはないよ!」と喜んでくださる方や、「デパートで山形物産展がやっていたから買いに行って一緒に日本酒を飲んだよ」と言ってくださる方がいましたね。
自分が作ったものじゃないから少し悔しいですが(笑)
そうやって思い出して日本酒を飲むきっかけになってもらえるとうれしいなと思いますね。
―最後に、藤子さんにとって日本酒とは?
藤子さん:日本酒だけに限らないかもしれないけど、お客様や蔵元さん、問屋さんと繋がるツールなのかな…。
日本酒一つでお客様を笑顔に出来たり、自分たちも日本酒を飲むことによって楽しい時間を過ごせたり、今はライフワークになっているので私にとって、とても大切なものになっています。
―お店を継ぐことへの葛藤を乗り越えて、試行錯誤しながら新しいことに挑戦していく姿勢。そして人との出会いを大切になさる藤子さんの想いが七里酒店の魅力につながっているのだと感じました。本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。