top of page

【第17回】キラキラおちょこガール

  • ochoco-g
  • 2024年12月20日
  • 読了時間: 11分

17回目 となりました「キラキラおちょこガール」。

日本酒に携わる女性がきらきらと輝いている姿をお届けする企画。

 

17人目のキラキラおちょこガールは、岐阜県多治見市にお店を構える「玉木酒店」の玉木陽子さん。プライベートなことから仕事のことまで、彼女のキラキラを徹底取材!

 

―まず初めに、陽子さんのおちょこガール歴を教えてください。

陽子さん:ここへお嫁に来てからなので27年ですね。最初のころは、ほんとお手伝いって感じでしたけどね。

―現在に至るまでの経緯を教えてください。

陽子さん:ちょっと変わっていますが…。主人は高校時代の1学年上の先輩で、当時はほとんど面識がなかったんです。卒業して8~9年ぐらい経った時、たまたま実家に帰ってきて卒業名簿をパラパラとめくったら主人が目に留まって、手紙を出したんです。

―えっ!!?

陽子さん:恥ずかしいんですけど、私からなんです(笑)高校時代、私はソフトボール部で、主人はサッカー部で。面識はなかったけどグラウンドで見かけることはあったので、なんとなく彼のイメージはあったんです。小さくて、いつもニコニコしてて、この人きっと楽しい人だろうなって。

手紙を書いたとき、ちょうど傷心で落ち込んでいたので思い切っちゃえたんですよね。

もしかしたら結婚してるかもしれないし、別にダメでもいいやって。それで手紙を書いたら、主人から一回会いましょうって連絡がきて、1年経たないうちに結婚しました。

―すごい!めちゃくちゃ思い切りましたね!

陽子さん:ね~!(笑)直感ってやつですかね。ピーンときたんです。



―続いて、趣味や最近はまっていることはありますか。

陽子さん:健康になりたくて年明けからヨガを始めたんですよ。

―いいですね!

陽子さん:ところが、一生懸命 股関節を広げて柔らかくしようとしたら痛くなっちゃって。そしたら友達に、筋肉の使い方が良くないからトレーニングしたほうがいいよって言われたんです。それで今度はパーソナルトレーニングに行ってマンツーマンのハードなトレーニングを受けたんです。そしたら次は膝が痛くなっちゃって(笑)

今やっと治ってきたところです。ほんと、この歳になるとやりすぎはかえって体を痛めるっていうね(笑)なので今はヨガやったり、整体にいったり、健康に努めています。

―大変でしたね!

陽子さん:あと、趣味ってほどではないけど、神社が好きです。商売をやる人は鈴鹿にある椿大社さんに行った方がいいっておすすめされて、それから1年に3回ぐらい毎年行っています。

あとは玉置神社さんも行きました。

―名前が一緒ですね!

陽子さん:そうなんです(笑)和歌山と奈良の県境辺りにあって、諸説ありますが、そこは呼ばれた人しか行けない神社と言われているみたいです。行こうとした日に嵐がきたり、急に体調が悪くなったり。知り合いにも、行く予定していたのに行けなかった人がいましたよ。

―陽子さんは行けたんですね!

陽子さん:ちょうど行ってみたいなと思ってたときに、お客さんが玉置神社さんのお札をうちに持ってきてくれたんです。あまりにタイミングが良かったのでびっくりして、なんで!?って聞いたら「おんなじ名前だから持ってきたよ~」って(笑)そのお札は今もお店に飾ってあります。そのあと、家族みんなで玉置神社さんへ行きました。

―神社に呼ばれたんですね!

陽子さん:そうなのかな(笑)まぁ、気になるときに気になるところへ行ってますね!



―続いて、お店について教えてください。1階が酒屋さんで2階がイベントスペースっていうお店のつくりが面白いなと思ったんですが、もともとそうだったんですか?

陽子さん:2階は主人や義理の姉が子どものころに使っていた部屋だったんですが、この店を建て替える際にイベント用の空間にしてもらったんです。

―建て替えたんですか!

そうなんです。本当はこのながせ商店街から出ていく予定だったんですけどね。

―え!!?

陽子さん:別の場所に家を建てる計画で土地も仮押さえしてたんです。たまたま、お客さんに工務店をされている方がいたので土地の造りについて軽く相談したら、設計士さんを紹介してくれて。その設計士さんは古民家を扱われていたんですが、先ず今の家を見てみたいとおっしゃったので、ここへ来てもらったんです。そしたら「こんな宝の山を捨てるのはもったいない。君たちが予定している予算でこのお店を変えてあげる」って言ってくれて。一緒に住んでいる義母が「引っ越さなくていいんだね」ってぽろぽろ涙を流してね。それがきっかけでお店を改装することになったんです。

その時に2階も改装してもらいました。以前、ながせ商店街の活動で、大学の建築学科の学生さんとお祭りのイベントを一緒にやったことがあって。その後大学のゼミで「玉木酒店をリノベする」をテーマに、この店の模型を作ってくれたんです。そのテーマの中でも、2階をもっとオープンにして上で何かやったらどうだって声があって。

―引きが強いというか…すごいご縁ですね!

陽子さん:そうですね。ご縁があって、偶然そういう方が現れて、繋がって。もしかしたら、そういうアンテナってあるのかもしれないですね(笑)

私もずっと2階を何とかしたいなと思っていたので、ほんとにいい機会でした。

商店街の活性化ってなんだろうって、ずっと思っていたんです。「昔はにぎわっていたのに」とか、「今はもうダメだ」とか。住んでる人からそういう声をきくことがあって。どうして自分が住んでる土地のことそんなふうに言うんだって、悲しくてね。だから、2階でワイワイやって、外から見た時にライトがついていたら少しは町がにぎわって見えるかなって。いつかそうしたいと思っていたので、やっと夢がかないましたね。

2年前に第一回目の「たまき杯(酒器のコンペ)」を開催したとき、陶器作家さんを募ってオープニングイベントとか角打ちとかをやったんです。その様子をお店の外から見たら、まさに思い描いていた光景で、「これこれ!これが見たかったんだ!」って。お店が混み合ってながせ商店街がにぎわうのが夢だったのでほんとに嬉しかったです。

―強い思いがあって夢が実現したんですね。

陽子さん:最終的には自分のお店だけじゃなくて、他のお店にも賑わいが伝染したらいいなと思っています。



―お酒の枠を超えたイベントも多数行われていますが、どうやって企画しているんですか。

陽子さん:靴のイベントをやったんですが、それはお客さんが履いていた靴を見て「何この靴!?きもちわる!」っていうのがきっかけでした(笑)気になるな~履いてみたいな~っていう軽い気持ちで、その靴屋さんに繋いでいただいて、最終的に玉木酒店でポップアップショップを開いてもらうことになったんです。

―「気になる」がきっかけで企画されたんですね!

陽子さん:そうです!まあ、いざ来てもらうとなると自分たちが履いたことないのに良さを伝えられないじゃんって思って、靴屋さんへ直接行ったんですけどね(笑)

―来るより先に(笑)

陽子さん:いろいろ履かせてもらいました(笑)




―「たまき杯」も楽しい企画ですね!

陽子さん:ここら辺は織部焼っていう焼き物が有名で。以前、ながせ商店街のいろんな店舗に焼き物を展示して、焼き物好きに練り歩いてもらおうって企画があったんです。そのとき出会った作家さんたちとご苦労様会や懇親会をやったりして仲良くなっていくうちに、私たちも意識が変わってきたんです。この町にはこんな素敵な魅力があって、たくさんの人が焼き物を勉強しにここへ来ているのに、作品を売る場所や支える人が少ないなって気づいて。なので、地元の私たちが地元の作家さんを応援しなきゃって思いました。第一回目のたまき杯のときは60名の作家さんが出展するって言ってくれたんですよ。

―60名!?すごいですね!

陽子さん:ほんとありがたい、感謝です。

―今回「たまき杯」で投票させていただきましたが、「実用性」と「芸術性」の2つの投票枠があって面白かったです。

陽子さん:前回のたまき杯で大きく票が割れてしまって、今回から2枠設けたんです。前回のグランプリは金沢の人気作家さんの作品で、妖怪の絵が全体に描かれた個性的な酒器だったんですが、飲食店さんや酒蔵さんは誰一人その作品に投票しなかったんです。その作品で飲みたいとは思わないって。

飲食店さんは、何合入るかとか、注ぎやすいか飲みやすいかとか、お酒を美味しく飲んでもらう器を求めているから、全然趣旨が違うんですよね。

なので、芸術性なのか実用性なのか、どちらを主に考える人が多いか集計したいなと思って、今回は投票テーマを分けたんです。

―集計結果が楽しみですね!

陽子さん:そうですね、でも今回は作家さんがけっこう呑む前提で作品を作ってきた気がするな。1回目のときは、吞み口がすごい分厚かったり、すごいデカかったり、はたまたすごい小さかったり、そういった盃がいくつかあったんです。

それで、作家さんたちと呑む談義をしたんですよね。例えば、主人は少し傾けるだけでスッと飲めるから平杯が好きなんですが、盃の形で吞む所作って全然違ってくるよね~、とか。片口も、右利きの人が多いから注いだ時に綺麗なスクリューで落ちていくのってなんかいいよね~とか。お酒が飲めない作家さんも多いので、一緒にそういう談義ができると楽しいですよね。

―そういう談義ができる関係性がまたいいですね。

「たまき杯」の7割ぐらいは知り合いの方なんですよ。作品の技法は全くわからないけど「この人は塾の先生なんだよ~」って、プライベートは分かる(笑)。そういう側面で応援できたらなと思ってます。

―玉木さんならではの応援の仕方ですね。

陽子さん:お客さんが来て、作家さんも来て、そうして繋がっていく。うちは酒屋ですが「お酒を売りたい!」っていうより、お酒を通じて人と人とがつながってほしい!って感じなので。どうせ飲んだら、楽しくなって勝手に繋がっていくので(笑)


―手書きの新聞を発刊しているのをSNSで見たのですがどうやって生まれたんですか?

陽子さん:SNSがまだ主流じゃなかった頃、お客さんにダイレクトメールを150通ぐらい出していたことがあって。表面は主人が、裏面は私が担当して新聞を作っていたんです。それが始まりかな。今はA4サイズの紙に1週間に1回手書きで、走り書きですけどね。

我が家の長男と次男のケンカの内容とか、普段悶々としていることとか。

―毎週書いてるってすごいですね。

陽子さん:誰にも校正されない、自由に書いていいものって苦じゃなくて。意外とストレス発散になっているかもしれないです。

―SNSで拝見した内容が、お手紙みたいでほっこりしました。

陽子さん:そうそう、お客さんから返事をもらうこともありました(笑)

―みなさん楽しみにされてるんですね!


―今後してみたいことはありますか。

陽子さん:地域のコミュニティの場を作りたいです。ひとりでご飯を食べている地域の人って少なからずいると思うんです。自分たちも歳をとったらそういう日がきっと来ると思うから。そういう人たちがみんなで集まって一緒に食べようって日があってもいいんじゃないかなって。そういう時に少し日本酒とかワインとか飲んだりしたら面白いかなって思って。

―地元愛がすごいですね

陽子さん:でも、昔は地元が大嫌いだったので、違うところに住んでたんですけどね。

―そうなんですか!?

陽子さん:北海道に居たこともありましたよ(笑)でも一回地元を離れてみると、良さがわかるんですよね。あんなに一人が好きだったのに、最終的にさみしがりやってことに気づいて。それで楽しい人と一緒にいたいな~と思っていたから、主人が目に留まったんでしょうね。この人は友達が多くて、ずっと笑顔でいられる人だなって。その輪に私も入りたいなって思って。

―それは今叶っていますか。

陽子さん:叶ってますね!!主人の周りにたくさん人がいて、その輪にちゃんと私もいるので。あの人は表に出るのも大好きですし、彼が活躍してるのを見るのがなんかいいなって。だから心地がいいです。後ろで支えているような…後ろからギャーギャー言いながら押してるのかはわかりませんが(笑)

―素敵なご夫婦です(笑)お二人の出会いは必然だったんですね、直感ってすごい。

陽子さん:いつも素直に自分の気持ちを聞いてみたら、意外と気づけるものってありますよね。「気になること」って次に繋がっているなって、そう思います。


―では、最後に。陽子さんにとって日本酒とは。

陽子さん:人と人とをつなぐ存在、ご縁そのものです。

先ず、蔵元さんにリスペクト、そしてお客さんにとっていい繋ぎ役でいたい。この店を媒体にして売らせてもらっているから、おいしく飲んでもらいたいし。

同じお酒でも、玉木酒店から買った方がおいしいなって思ってもらえると嬉しいな。

―酒屋という枠にとらわれないユニークな企画を通して、人と人とをつなげていく陽子さん。地元への深い思いが、玉木酒店に、そしてながせ商店街に新たな風を吹き込み、訪れる人々を惹きつけるのだと感じました。本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。




Comments


特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square

 2016 by ochoko girl with Wix.com

  • Grey Instagram Icon
  • Grey Facebook Icon
  • X
bottom of page