【第6回】キラキラおちょこガール
6回目となりました「キラキラおちょこガール」。
日本酒に携わる女性がきらきらと輝いている姿をお届けする企画。
毎月更新予定なので、ぜひご確認を!!
6人目のキラキラおちょこガールは、創業1907年、名古屋を代表する老舗居酒屋「大甚 本店」の若女将、山田明美さん。プライベートなことから仕事のことまで、彼女のキラキラを徹底取材!
―まず初めに、明美さんのおちょこガール歴を教えてください。
明美さん:結婚してすぐここで働き始めて、途中子育てで間が空いたけど、仕込みはずーっと手伝ってきたので、31年前からかなぁ。
―長い!結婚を機にお店に入られたんですね。それまでは何かされていましたか。
明美さん:結婚するまでは保健室の、養護教員をやっていました…全然畑違いですよね(笑)
―意外な経歴!
明美さん:出身は名古屋なんですが、短大を卒業して最初の3年は神奈川県の養護学校で教員をしていました。そのあと名古屋市の学校に受かったので、帰ってきて1年教員をやって、結婚して大甚へきました。
―戻ってきたときに旦那さんと出会われたんですか?
明美さん:幼稚園からの同級生だったんです。中学校の時は同じクラスで、二人とも陸上部でした。でも、実は中学に上がるまで全然知らなくて(笑)。同じ部活になって初めて知りました。
―それは、すごいですね(笑)。当時からお付き合いされてたんですか?
明美さん:いえ、全然そんな感じじゃなくて。高校は違うところだったんですが、お互いずっと陸上部だったので、試合会場とかで会いましたね。
―お付き合いのきっかけは何だったんですか?
明美さん:高校の時に、旦那が八神純子のコンサートのチケットを大量に買ったらしくて、それをさばくために中学の同級生にかたっぱしから電話をかけてたみたいで。みんなに断られて、最後に引っかかったのが私だったという(笑)
思い起こせばそんな時期から卒業アルバムも一緒なんだなーって。共通の友達がいるので、楽しいですよ!
―それはいいですね!一緒に遊びに行けますね。
―では、最近ハマっていることはありますか。
明美さん:ホットヨガです!昨年の10月に納屋橋に「テラッセ納屋橋」ができて、そこにメガロス(ヨガ教室)ができたので、近いし行けるやんって思って通い始めました。週2,3回行ってます(笑)。そしたら体の調子がよくて!前は立ち仕事で接骨院とか行ってたけど、ホットヨガを始めてから行ってないです。
―だいぶ効果がでてますね!
明美さん:そうなんです。やり始めたころはヨガって感じじゃなくて、もがいてた感じなんですけど(笑)。今は体もだいぶ柔らかくなってきたかも。
―ホットヨガ…あなどれないですね。
―ほかに何かハマっていることはありますか。
明美さん:前まで日本酒が呑めないと思ってたんだけど、ここ1年くらいで呑めるようになりました!日本酒は呑みながら食べることを楽しめるなーって思って。こないだも名古屋城酒祭りに行ってきました。
―日本酒は外によく呑みにいかれますか。
明美さん:結構いきます!東京のお店を回ったりするのも好きで、旦那と一緒に行ったり、向こうにいる友達と行ったりします。いろんなお店を見てみたいし、参考にしたいし。旦那は私より自由時間がないから、私だけでぴゅーっと行くこともあります。料理の内容や、出てくる食材の調理方法とか、厨房の様子や接客している店員さん、お客さんの呑んでいる様子とか、あと価格帯とか。結構見ちゃいますね。
―お店をやられているからこその視点ですね!
明美さん:気になっちゃうんですよね。この料理にこの値段取るんだとか、なんで流行ってるのかとか、これは女性の好きな盛り付けなんだろうな~とか。そういう見方をしちゃいます。何かの足しになるのかなって。
―実際になにか参考にして試されたことはありますか。
明美さん:あります!だし巻き卵!
「俺の割烹」さんていうお店で食べただし巻き卵がおいしくて、すっごくきれいだったんです。私だし巻き卵はどこへ行っても必ず頼むんですけど、そこのだし巻き卵は見た目もおいしそうで、実際食べてみてもおいしくて、とても憧れました。
―それは気になります!私もだし巻き卵大好きでよく頼みます。
明美さん:ですよね!やっぱり日本人は卵が好きですよね。なのに、うちのお店にはなくて、だからどうしてもやりたかったんです。それで、調理担当の人にお願いして作る練習を1ヵ月もしてもらって。
―1ヵ月!?
明美さん:卵地獄です(笑)。 GOサインがでるまで何回も試行錯誤して作っていただきました。だし巻き卵ってどこのお店にもあるメニューじゃないですか。だからこそ、味はもちろん、出てきた時の「わぁ~」っていう感動があるといいなと思って見た目にもこだわっています。
―それは食べないと!ほかにも新メニューはあるんですか。
明美さん:いろいろありますよ、オムレツとかお肉料理とか。
いままでうちの料理はショーケースに並んでいる小鉢とか刺身とか、出来合いのものが多かったんです。でも、注文を受けてから作る、温かいものとか旬のものとか、そういうメニューをやってみたいという思いがずっと旦那にもあって。今までのものは大事にしつつ、新しいものも少しずつ入れていけたらなと思って始めました。
―新しい試みなんですね!
明美さん:はい、最初常連さんはどんな反応されるかなと少し不安だったんですが、意外と喜んで頼んでくれるんです。メニューは日によって変わるので、毎日黒板に書いています。グラタンとかもあるんですよ!
―グラタン!?
明美さん:めっちゃ評判いいんです!ホワイトソースも手作りなんですよ。年配の方にも人気でよく頼まれるんですけど、一緒に何を呑んでるのかなって見てみると、日本酒を呑んでるんですよ!あと常連さんにはジビエなんかも人気ですよ。ワインにしか合わないんじゃないかと思ってたんですけど、ちゃんと日本酒に合うように調理してくれているんで意外な組み合わせだけど、合うみたいです。
―今度絶対に食べに行きます!
明美さん:ぜひぜひ!おいしいですよ!
―では続きまして、お仕事について伺います。お店に立つうえで大切にされていることはありますか。
明美さん:私、お客さんと顔を合わることが結構好きなんです。なので、お客さんに楽しんで呑んでもらえるようにしたくて…たとえば目が合ったら声をかけるとか。やっぱり自分も楽しくしていないとお客さんにも楽しんでもらえないだろうなと思っています。あと、毎日来てくれるお客さんも多いので、そういう方が最初に何を頼むとか、どこの席が好きかとか、考えて動けるように心がけて接客しています。そういうことをすることで、バイトの子たちにも見て真似をしてもらえたらいいなと。
―素敵な心掛けですね!
―今までで一番印象的だったことはありますか。
明美さん:一番というか常になんですけど、お勘定して帰られるときに、楽しかったとか、おいしかったとか、また来ますって言ってもらえることが一番うれしいです。遠くからみえる方も多くて、やっと来れたとか言ってくださったり!
―それはうれしい!
―結構年配の方が多いイメージがありますが、若い方もいらっしゃいますか。
明美さん:きますよ!昔は全くなかったんですけど、最近は若い方が、しかも一人でお酒を呑んでいかれますよ!そういう変化があったので、女性トイレもちょっときれいにしました(笑)
―女性の方も多いんですか。
明美さん:そうです、1人で!近くにいるおじさんたちが、手取り足取り教えてくれるみたいで、そういうのが楽しいんですよね。うちはお客さんがいい方ばかりなんだと思います。席が近いとトラブルに繋がったりするんですけど、うちは全くないです。すごくありがたくて、ほんとにいいお客さんばっかり!
―きっと大甚がいいお客さんを引き寄せてるんでしょうね。
―今後、どんなお店にしていきたいですか。
明美さん:外で日本酒を呑むと一杯が結構高いですが、うちはそこまで高くないので、毎日楽しく呑んでもらえる場所を作りたいです。
そして、ここまで続いているお店なので、この先も頑張って続けて守っていきたいです。みんなが喜んできてくれるように、これからも古いものを大事にしつつ、新しいものもこそっと入れていけたらと(笑)。
―では最後に。明美さんにとって日本酒とは何ですか。
明美さん:えーー考えたことなかった!普通に毎日ここへきたらあるものだったから…。う~ん…難しい(笑)。
もし、このお店にいなくてこういう仕事をしていなければ、出会わなかった人がたくさんいるんですよね。でも、ここにお酒を呑みに来てくれたことでいろんな方に出会えて、それがとても楽しんです。ここで楽しくお酒を呑んでもらえてるってことは、人生を楽しんでもらえてるってことで、お酒ってそういう力があるのかなと思います。みなさんに喜んで呑んでもらえることは、自分にとってとても楽しいというか、いいな!って感じ(笑)
―楽しんでもらうことを常に考えて、何事でもチャレンジする明美さん。彼女だからこそ、お客さん目線で喜ばれるメニューを考えることができるのだと感じました。本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。