【第8回】キラキラおちょこガール
8回目となりました「キラキラおちょこガール」。
日本酒に携わる女性がきらきらと輝いている姿をお届けする企画。
8人目のキラキラおちょこガールは、愛知県高浜市にある、美味良酒 マルア 岩月宏枝さん。プライベートなことから仕事のことまで、彼女のキラキラを徹底取材!
―まず初めに、岩月さんのおちょこガール歴を教えてください。
岩月さん:主人と結婚してから日本酒に興味を持ったので、だいたい34年くらいですかね。小さい頃から店の手伝いはしていましたけど、さほど日本酒に関心はありませんでした。でも結婚してからは主人の日本酒好きが影響して自分も関心をもって扱えるようになりましたね。
―続いて、現在の仕事に就くまでの経歴を教えてください。
岩月さん:勉強が出来なかったので美術系の短大にいったんですよ。卒業後は寿がきや食品さんでポップを書く仕事を1年半くらいさせてもらいました。元々、姉が酒屋を継ぐ予定だったのですが、結婚して家を出てしまったので、次女の私が「まあいっか」という感じで今の仕事をするようになりました。
―プライベートな質問になりますが、休日の過ごし方を教えてください。
岩月さん:お休みは週1回なので、家事をやらなくちゃいけなくて…あとは体のメンテナンスで歯医者さんに行ったり美容院に行ったり、それでも余裕がある時は美術館や食事に行っています。
―美術館がお好きなんですね。最近は美術館に行かれましたか。
岩月さん:高浜に“かわら美術館”というすごくコアな美術館があって、そこは地元の美術館なので応援してあげたいと思ってなるべくこまめに行くようにはしています。あとは近場ですと刈谷や豊田の美術館がわりと多いかな。静岡とかちょっと遠い美術館にもたまに行きますよ!
―では趣味も美術館めぐりだったりするんですか。
岩月さん:う~ん。すごいドはまりするというものはなかなかなくて、何でも広く浅くやっているので。でも何か作ったりするのはすごく好きです。お料理や縫い物、絵をかくこと、それからDIYみたいなことをしたりするのも好きです。
―もしや…外の看板も手書きなんですか。
岩月さん:ブラックボードですか?
―そうです!すごく目を惹くなぁと思って。
岩月さん:ありがとうございます。そうですね、最初はマーカーで文字を書くくらいでしたが、商品の絵を描いたら好評で!お買い物に来てくださる事務用品店の奥さんが「マルアさん向けに良い商材が出たのよ~」ってブラックボード用のクレヨンとかを紹介してくださって、まんまとハマってしまいました(笑)
―店内にも目を惹くポップがたくさんありますね!これも岩月さんが?
岩月さん:はい(笑)
―え、すごい!作られるときに気を付けていることはありますか。
岩月さん:手作り感…?ですかね。 パソコンでつくると綺麗にできるけど、目に留まりにくいなと思って…なるべく全部手書きで作成しています。だからその分間違いが多くて(笑)お客様にいろいろご指摘をいただくんですけど、それはそれでお楽しみでって(笑)
―それは、ちょっと間違いを探したくなっちゃいます(笑)
―岩月さんはどのようなシーンでお酒を呑むのが好きですか。
岩月さん:ざっくり、宴会ですね(笑)
しみじみと語り合いながら呑むお酒も情緒があっていいと思うんですが、お客様に来て頂いてうちでわいわいお酒の会をするのがすごく楽しいです。あと主人の親戚とか宴会好きな人が多くって(笑)結婚前からよく招待されて行くんですが、お酒が入った席ってすごく楽しくて、どなたとも仲良くなれるんです!なので、お酒の力ってすごいなぁ~と思いました。
―お酒は毎日呑まれるんですか。
岩月さん:毎日ではないですが、新しいお酒を開けたときには必ず試飲するというか、味見をします。これが好きっ!と印象に残るので。
でも、主人は365日の367日くらいは呑んでますかね(笑)
一度にそんなにたくさん呑むわけじゃないですが、合計すると結構呑んでいるんじゃないかというのが私の予想です(笑)
―今まで呑んできた中で、とくに好きな日本酒は何でしたか。
岩月さん:三重県の元坂酒造さんが出している「酒屋八兵衛 山廃純米」ですね。お燗をしても美味しくて、おでんの時にはめちゃめちゃほっとする美味しさなんです。
でも、私…実はお酒にとても弱くてちょっとしか呑めないんですよ(笑)
―え!!?意外です!
岩月さん:だから、主人と私を足して二で割ったらちょうどいいなぁーって思います(笑)
私はまず乾杯で呑んで口当たりが良いお酒を美味しいと思いますね。「天領 大吟醸ひだほまれ」とか「蓬莱泉 純米吟醸 熟成生酒 和」みたいにちょっと濃いけど香りもあって、ほんのりとした甘みがあるお酒が好きですね。
―ホームページで拝見したのですが「ギフトラッピングインストラクター」を取ろうと思ったきっかけを教えてください。
岩月さん:そうですね…結婚後に「主人はお酒のこといろいろ知っているなぁ」と思ったのがきっかけですかね。私はその分野では絶対勝てないので何か私に出来る仕事はあるだろうかと考えた時に、ポップをかいたりラッピングをしたりするのがいいと思って。30年くらい前ですが、リカーショップという雑誌にラッピング講座のお知らせが出ていたので申し込んだのが始まりですね。最初は初級コースだけにしようと思ったら、なんか、初級コースは四角い箱を簡単に包むだけのものだったので、もっとボトルの可愛い包み方を学びたいと思って。花の包み方とか「それはいらないんだけど…」って思ったのもあったけど(笑)結局、最後の上級者コースまで受講しました(笑)
―今はどんなラッピングをよくされているんですか。
岩月さん:普通にラッピングしてくださいっていう方がほとんどですが、こういうものも出来ますよって示すために何個か見本を置かせてもらっています。お誕生日やピアノの発表会、たまに結納の為の物も頼まれます。他にも、オリジナルラベルも作らせていただいています。写真も入れられるし恐縮ですが文字も自分で書いているので、世界に一つだけのお酒になりますよ。
―素敵!呑んだ後も記念に残りますね。
瓶を洋服のように布で包んだラッピングも作られたんですか。
岩月さん:あ、それは同じ商店街の呉服屋さんに頼んで作ってもらいました。布は呉服屋さんが用意してくださって。手作りなので高いですが、着せ替えも出来るようになっていて、おはしょりや、帯紐、細かいところまで丁寧に考えて作ってくだいました。
―これは贈ってもらったらめちゃくちゃ嬉しいですね!
―続いてお仕事をしていて嬉しかったことを教えてください。
岩月さん:お客様に、「勧めてもらったの美味しかった」と言ってもらえるのはすごく嬉しいです。うちは、お向かいがお魚屋さんで、「今日のご飯しめ鯖 なんだけど」とか「のどぐろを買ってきたんだ」って言いながらそのままうちにお酒を買いに来てくださる方がよくみえるんですよ。うちからも、お向かい(お魚屋さん)にいけばいいおつまみ買えますよっておすすめしたり。
―すごく素敵な関係です!
岩月さん:ありがたいです。うちの店は入口が2つあって、正面側をメインにしていたんですけど、魚屋さんの方の入口からもお客様が来てくださるのでせっかくだからブラックボードを出したりして入口っぽく なるようにしました。
―先程の文房具屋さん、呉服屋さん、魚屋さんなど色々なお客様とつながりがあるんですね!ほかにもお客様と交流があるんですか。
岩月さん:お寿司屋さんに来ていただいてイカのさばき方講習会と合わせて熱燗を 楽しんだり。あと、毎月1回ざっくりとしたテーマをもってお酒の会をやっています。ちなみにこの前のテーマは“夏に呑みたい日本酒”です。
―いいですね、夏酒!
岩月さん:季節のお酒ってなかなか一度に呑めないので私達もすごく勉強になります。お客様がどう思っているのかがよくわかりますし、私はお酒が弱い分いろんな意見を聞いて参考にしています。
―なるほど。そういったイベントはいつもどのように計画しているんですか?
岩月さん:いつも主人と2人で計画して、年に4、5回チラシとホームページの両方でみなさんに見てもらえるようにしています。でも、応募人数が12名と少ないので、毎回キャンセル待ちの方がたくさん出てしまうんです。
―大人気ですね!会に参加されるのは近所の方が多いですか。
岩月さん:この頃はお近くの方も多くなりましたが、名古屋方面からいらっしゃる方もいますね。なので、「電車が無くなっちゃうと困るので終電が終わるまでに帰ってくださいね」って声をかけないといけないんです(笑)
いろいろな方がいらっしゃいますが初めて見えた方でもその場ですぐ仲良くなれるので、お酒の力ってすごいなって改めて思います。
―素敵ですね。ついつい長居しちゃいそう(笑)
岩月さん:本当に楽しい会ですよ!一応会費としてお酒の価格だけはいただいて、おつまみもこちらで用意しているんですが、それだけでは物足りないって方がいろいろ持ってきてくださったりして。でも、みなさんが持ってきてくださると食べきれなくって(笑)
あと、あらかじめ用意しているお酒だけではだいたい終わらなくて、「主人がもう一本だすか」って言いだすので、それで喧嘩になりますね。(笑)
―ご主人太っ腹ですね(笑)
岩月さん:会に参加されるお客さん同士ですごく仲良くなられて、お客さんが自分たちでワインとかお酒の会を開いたりしていて、誘ってくださったりするんですよ。
―すごい、アグレッシブ!お店やお酒を通していろんな輪が広がっていってるんですね。
―では、最後に岩月さんにとって日本酒とは?
岩月さん:コミュニケーションツールですかね…。
料理とのマリアージュももちろんですが、お酒をきっかけに初対面の人とでも仲良くなれるって感じていますし、出会った人もたくさんいますし。
今、日本酒にはいろんな入口があると思いますが、どんな入り方でも楽しめればいいのではないかなと思います。
―試行錯誤しながら自分に出来ることでマルアの魅力、日本酒の魅力を発信し続ける岩月さん。そこに惹かれた様々なお客様とのつながりの深さが印象的でした。本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。