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【第10回】キラキラおちょこガール

10回目となりました「キラキラおちょこガール」。

日本酒に携わる女性がきらきらと輝いている姿をお届けする企画。

 

10人目のキラキラおちょこガールは、名古屋丸の内にある炭火やきとり「笑風や」の渡邊 孝子さん。プライベートなことから仕事のことまで、彼女のキラキラを徹底取材!

 

―まず初めに、渡邊さんのおちょこガール歴を教えてください。

渡邊さん:18歳の時に飲食店に就職したので、もう24年になります。

母がずっとスナックをやっていたのでお酒に出逢ったのはもっと昔ですね。家の一階がお店で、二階に住居があったので幼い頃からずっとお酒に関わっていました。

―長いですね!

―では、今のお仕事に就くまでの経緯を教えてください。

渡邊さん:実家が水商売で個人経営というものが当たり前の環境で育ったので、自然な流れで独立して今の飲食の道に進みました。焼き鳥屋をやろうと思ったのは、フリーターとして仕事を転々としていた時に、とある焼き鳥屋に出逢ったのがきっかけです。自分が何をしたらいいのか迷っていた時に、焼き鳥って色んな意味で効率がいいなと思ったり、炭火で焼き鳥を焼いたりすることに魅力を感じたので、いずれは焼き鳥屋をやろうと思いました。それ以降は鶏に関する仕事をずっとして、最後は名古屋で有名な「きんぼし」という焼き鳥屋で5年修行した後、独立して今のお店を始めたんです。

―修行をされていた時の経験はやっぱり大きいですか。

渡邊さん:そうですね。「きんぼし」に関しては、オーナーがフレンチのシェフだったのでサイドメニューに鴨があったりフォアグラがあったりして、色んな意味で勉強になりました。他にも和食、洋食、韓国料理、中華料理、多彩な料理を勉強させてもらいました。焼き鳥屋にいながら、フレンチのソースを作ったりしてね。なので「きんぼし」には焼き鳥だけじゃなくて料理の基本を教えてもらいました。

あと “まかない”は良い経験になりましたね。

―まかないですか!

渡邊さん:社員になるとまかないを作らないといけないんです。毎日のことだから、みんなが飽きないようなメニューで、ある程度ボリュームも必要だし、忙しいお店だと早く食べられるものでなくちゃいけない。あくまで営業がメインなので、時間が無い中で早く調理するために具材に多めに包丁入れて煮えやすくしたり、短い時間で調理できるような代わりの食材を使ったり。限られた材料や時間の中で作るために手順や調理方法を考えて工夫する必要があるんです。それを勉強させるために、どのお店でも新人の子にまかないを作らせるんです。

―渡邉さんが作られたまかないで、これはよかったな!と思うものは何ですか。

渡邊さん:ロコモコ風の料理ですかね。時間が限られているのでハンバーグではなく炒めたミンチをデミグラスソースで煮込んで作るんです。それをご飯にかけて目玉焼きとレタスを・・・ってすると味はロコモコなんです。他にも余った鶏の身や皮を使って味噌と大根と炊いたり、鶏で出汁をとってつけうどんにしたり、ソースを後からかけるパスタとか。

―美味しそう!逆にこれはあんまり・・・っていうまかないはありましたか。

渡邊さん:ありましたよ(笑) 「きんぼし伏見店」のオープニングスタッフだったんですけど、オープン当時はみんな初めてのお店でてんやわんやしてたんです。そんな時間がない中、とある先輩がめっちゃグツグツ煮え立ったカレーうどんを作ったんですよ。あれは伝説ですね。

―うわー(笑)

渡邊さん:食べる時間がないのに熱いからみんな食べられなくて。めっちゃおいしいまかない作ったにも関わらず社長にキレられていましたね。「状況考えてまかない作れ」って。そういうことも大事なんですよね。

―確かに。

渡邊さん:まあ、その先輩すごく面白い人で、まかないでそら豆のポタージュを作るときに、まかない分で買ってきたそら豆の量が足りなくてお店の営業分のそら豆使っちゃったりしてね。料理人って変わった人が多いですよ。美味しいものを作りたいって気持ちが強いので。

―なるほど。みなさんいろんなまかないにチャレンジされるんですね。

渡邊さん:結構色々作りましたね。飲食店あるあるかもしれないけど、まかないって結構作る人のセンスが出るんですよね。この食材でこういうメニュー作れるんだなぁっていう。

でも、お客様に出すわけじゃないから失敗したっていいし、美味しかったらメニュー化することもあるし。当時はまかないを作る暇もないくらい忙しかったから大変でしたけど、今思えば楽しかったです。すごくいい勉強になりましたね。

―まかないって奥が深いんですね・・・。

―では、続いてプライベートについて伺います。休日はどう過ごされていますか。

渡邊さん:これといった趣味はないんですが、犬を2匹飼っているので一緒に家で過ごしたり、普段は連れていけないようなところに散歩に行ったりですね。

お店の名前も犬の名前の「笑太」と「風味」からとって「笑風や」なんです。我が子のように可愛がってます。

―Twitterで拝見しました、2匹ともかわいいですね!

―では、おちょこガールっぽい質問を。プライベートではお酒は呑まれますか。

渡邊さん:はい、浴びるほど(笑) 和食だったら日本酒、洋食ならワイン、なんでも呑みます。

―浴びるほど(笑)

渡邊さん:出身が鹿児島なので、お正月とかみんなで焼酎やお酒を呑んでわーわー騒いでましたね。そう思うと、お酒とは小さいころから繋がってますね。

―焼酎も呑まれるんですね!

渡邊さん:焼酎はあんまり呑まないかな・・・呑んでも酔わないからなぁ。気づいたら1本呑んでたりしますね。体に馴染みすぎてるのかな(笑)

―まるで水ですね(笑)

―日本酒は好きな銘柄とかありますか。

渡邊さん:山形の「上喜元」が好きですね。あと富山の「立山」はバランスが良いお酒だと思います。割と有名どころが好きかな、「而今」も好きだし。うちのお店では、熱燗は京都の「伏見蔵」ってお酒を置いています、冷やでも常温でも美味しいです。いわゆる本醸造とか、お手軽な値段のものもあれば呑んじゃいますね。歳を取ったからなのか最近は炭酸系のお酒よりも日本酒が好きで、やっぱり和食だと日本酒を呑みます。昔は勢いだけで呑んでいましたけど最近は嗜むように呑むようになりました(笑)

―なるほど(笑) 日本酒だけで呑むことはありますか。

渡邊さん:日本酒だけで呑むことはないですね。食事をメインにして、合わせてお酒を呑んでます。そば食べたいなって思ったら、蕎麦屋にいって、板わさとって、出汁巻きとって、天ぷらとって最後はざるでしょ。そういう流れの間に日本酒が入ってくる。蕎麦屋は絶対に日本酒が入るね。あくまで料理があってお酒を呑むって感じですね。あとお刺身があった絶対に日本酒を呑みますね。

―家で呑むときはおつまみを作られるんですか。

渡邊さん:家ではほとんど作らないですね。勉強のためにも極力外食するようにしてます。うちは焼き鳥以外のメニューもあるので、和食でも洋食でもいいから少しでも参考になればと。あと、個人経営なのでお客様と食事に行くこともすごく多くて。休みは週に一日しかないんですけど、常連さんが誘ってくださるので「あの店は美味しいよ」と聞くと行ってみようという流れになりますね。

―お客様と行かれるんですか!素敵な関係ですね!

―では、続いてお仕事について伺います。お店のこだわりを教えてください。

渡邊さん:焼き鳥屋なので焼き鳥に一番こだわっていますね。

絶対的に丁寧な串うちだったり、自家製の塩を使用したり。火加減もめちゃくちゃ重要で、こだわってやってます。

―自家製のお塩というのは・・・。

渡邊さん:鰹と昆布のだしの旨みを塩に入れる作業をしてます。昆布だしで一度塩を炊いて一週間寝かせるんです。その後、鰹だしを炊いて、昆布だしで炊いたお塩に鰹だしで炊いたお塩を入れて合わせて水分を飛ばします。化学調味料を使う焼き鳥屋さんも多いんですけど、うちは一切化学調味料を使いたくないので自家製の塩を作ってます。普通のお塩だけだと辛くなっちゃうし角があって旨みがないんですけど、鰹と昆布の旨みを塩に入れることによってお肉と塩が相乗効果で旨みが増すんです。だから、それだけは絶対にこだわってますね。やっぱり塩が美味しいのでうちの焼き鳥は美味しいと思います。自分でいうのもなんですけど(笑)

―おいしそう!作るのにどれくらいかかるんですか。

渡邊さん:全工程で10日間くらいですかね。昆布だしに1週間漬けた塩をまた鰹だしで炊いて3日間くらいで水分が飛びます。一気にやると焦げてしまうのでじっくり水分を抜いていくんです。たまに混ぜたりするくらいで置いておくだけなのであまり手はかかりませんけど。うちは手で塩を振るので、手で振れるくらいまで水分を飛ばしてます。大量に作って貯めておいても香りが飛んでしまうので、ローテーションで毎日常に何かの工程をして作り続けていますね。

―結構かかるんですね!

―このお店に来たらぜひこれを食べて欲しい!というオススメのメニューはありますか。

渡邊さん:レバーですかね、レアで焼いています。あとは、ささみ。うちの塩の味が一番わかるのはささみだと思います。レアで焼いてわさびを乗せているんですが、ささみは他のお肉に比べて脂が少ないので、自家製塩の旨みとちょうど融合して鰹と昆布がふわっと香って旨みが増すんです。

あとは、「笑やき」「風やき」っていう親鶏と若鶏のもも肉の焼き鳥です。「風やき」は他の焼き鳥屋さんでもよくある若鶏の柔らかいもも肉なんですけど、「笑やき」は親鶏のもも肉なので弾力があって旨みがしっかりしています。他では取扱いが少ないのでこれが好きでうちに食べに来てくれる方も多いですね。

―・・・生つくねも気になります。

渡邊さん:他の焼き鳥屋さんでは一度火入れしたものを焼くことが多いんですけど、うちは生から焼いています。生だと焼きづらいんですけど、火入れせずに生から焼き上げることでジューシーさが残るので絶対的においしいですね。

―おなかすいてきました(笑)

―先程お店の常連さんは年配の方が多いと伺いましたが、若い方もいらっしゃいますか。

渡邊さん:いますよ、若いっていっても20代は少ないですけどね。40代の女性が一人でみえたりすることもあります。やっぱり女性二人で営業しているので割と女性のお客様は多いですね。店内全部女の人っていう日もたまにありますよ。

―へえ!やっぱ女性の店員さんがいらっしゃるから入りやすいんですかね。

渡邊さん:そうかもしれないですね。それに女性が来るからおじちゃまも・・・ね(笑)

―(笑)

渡邊さん:かわいい子おるかな~って来てくれますし。それに、うちにも一人看板娘がいますからね。

―お店に立つうえで大切にされていることはありますか。

渡邊さん:やっぱり料理のクオリティーを一番大事にしています。焼き加減、塩加減、あとはお客様に一番おいしい状態で食べていただくこと。お客様の食べるペースや、味の濃さの好みに合わせて臨機応変に出せるように常に意識をしています。あとは、お客様との距離感ですかね。カウンターがメインのお店なのでお客様にとって落ち着ける場所になってくれればいいなと思うので、会話をしながら楽しく過ごしてもらえるようにと思っています。

―「これからこのお店をこうしていきたい」というビジョンはありますか。

渡邊さん:いずれはもう少しお店を大きくしていきたいという気持ちはあります。このお店で終わるつもりはないので、焼き鳥屋をするかどうかは別として、飲食に関するお店をもう一店舗出したいなと。全く違う業態でもいいんですけどね、それこそ日本酒バーとか。お酒に関わっていく仕事は続けていきたいなと思います。

―では最後に、渡邊さんにとって日本酒とは。

渡邊さん:甘い誘惑ですね・・・甘い、誘惑。あんまり呑みすぎると太っちゃうのでいけないなって思うんですけど、誘惑に負けてついつい呑んじゃう魅力の塊です。

―しっかりと「こだわり」を持ちながら、飾らず、持ち前の明るさでみんなを笑顔にさせる渡邊さん。彼女だからこそお客様も不思議と素直になってしまう、そんな気がしました。本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。

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